世界のホビーロボットファンのみなさん、ハッピーニューイヤー!
丸さんと「キングカイザー」が、ロボットプロレス「できんのか!(Dekinnoka!)」の中国遠征から無事戻って来ました。
「キングカイザー」ファンを代表して、「キングカイザー応援ブログ!」管理人の私(種子島)が話を聞きました。
そして、新春インタビューとしてお届けします!
◎2017年1月4日、会場画像を追加しました。
はじめての中国公演。
観客のべ2000人!
種子島: 「キングカイザー」は、昨年(2016年)12月にロボットプロレス「できんのか!(Dekinnoka!)」の中国公演に参戦しました。
「キングカイザー」の中国本土公演は、初めてでした。
丸さんは「北米、欧州とは違った反響があるのではないか?」と言っていました。どうだったのでしょうか?
丸 氏: 私は公演前、中国は北米、欧州と違っていると思っていました。
「日本人の反応に近いかなー」と思っていたんです。
でも、そんなことは全然なかったですね。
日本だと、こちらから呼びかけても反応がなかったりするんですよね。ちょっと、シャイな感じで……。
でも、中国では違いました。
私が試合中に、アドリブで「サン! アール! イー!(中国語「3! 2! 1!」)」と掛け声をかけました。
すると、当然のように、いっしょに声を合わせて掛け声をかけてくれます。
ノッて(盛り上がって)くれるんです。もちろん、大人も子供もです!
だから、観客の“ノリ(盛り上がり)”はよかったですよ。観客は、アメリカ的で非常によかったです。
初日の午後は、観客が熱狂し過ぎてしまいました。リングが押しつぶされそうになるくらいでした。
だから、2日目には変化がありました。
少し、リング回りのレイアウトを変えました。観覧場所とリングの間に、距離をつくりました。
警備員の人数も、大幅に増やしてもらえました。嬉しい誤算でした。
また、急に主催者側から要望がありました。
私たちは、1日3回の予定だった公演を「4回に増やしてほしい」と言われたんです。
観客からの反響が大きかったんですね。
種子島: 最終的に、どれぐらいの方に観ていただけたんでしょうか?
丸 氏: ざっと数えてみました。1回の公演につき、観客は250人前後でした。
それを2日間で8回行いました。だから、約2000人にロボットプロレスを観ていただけたことになります。
ロボットプロレス「できんのか!(Dekinnoka!)」のミステル・タマオ総統は、「過去31回の公演の中で、最大の観客だったのではないか?」とおっしゃっていました。
それから、台湾のロボットによるロボットボクシングが、別会場で行われていました。
最後に、そのロボットボクシング団体から交流試合を申し込まれたんです。
種子島: 予定にはなかったんですね? 急に?
丸 氏: ええ、そうです。最終日の公演中のことでした。
たぶん、ロボットボクシング団体の責任者の方が、私たちの公演を初日に見たんでしょう。
それで、私たちとの対戦を企画したのだと思います。
それで急遽、プロレス vs ボクシングの異種格闘ロボット対決が実現しました。
しかし、あちらは“ガチンコ(リアルファイト)”のボクシング、こちらはプロレスです。
ですから、私たちはルールを調整しました。3対3の代表選手による、プロレス試合になりました。
もちろん、2体の「キングカイザー」も代表選手として闘いました。「キングカイザー」は、ドロップキックとムーンサルトプレスを披露しましたよ。
というわけで、けっきょく、2日間で合計9回の公演を行ったわけです。そのため、さすがに最後の方はロボットたちも“ガタガタ(疲労度大)”でしたね。
種子島: そういう場合は、どんなところが“ガタガタ(疲労度大)”になるんでしょうか?
丸 氏: ロボットが“ガタガタ(疲労度大)”だったのは、モータだったり、フレームだったり、配線だったり、すべてです。
今回は、ダンス等のパフォーマンスではありませんでした。
「プロレス」とはいえ、コンタクトがある格闘競技です。ロボットにとってはハードなんですよ。
もちろん、これは「キングカイザー」だけのことではありませんよ。参加したロボットすべてです(苦笑)。
種子島: みなさんが、せっかくつくったロボットが“ガタガタ(疲労度大)”になってしまって、残念でしたね……。
丸 氏: まあ、ロボットはしょせん機械です。
“ガタガタ(疲労度大)”になっても「残念」という感情はわきませんでした。
それよりも、その程度で“ガタガタ(疲労度大)”になってしまった。
自分の「モノづくり」の未熟さが「残念」でしたね。
今回は、特別なケースだったとはいえます。
通常であれば、基本的に試合の合間にメンテナンス(点検、整備)をする時間があります。
しかし、今回は当初、1日3回の公演予定でした。
ところが、1日4回の公演に変更となりました。
そのために、試合と試合の間隔が短くなってしまいました。
試合の合間に、ロボットを十分にメンテナンスする時間がなかったのです。
それもこれも、己の未熟さゆえのことです。
次回からは、ノーメンテナンスで2日間を闘い続けられるよう、機体(ロボット)を設計しようと思っていますよ!
種子島: 公演の回数が増えると、バッテリも心配ですよね?
丸 氏: そうなんです。バッテリの問題もありました。
私たちのホビーロボットは、バッテリがなければパフォーマンスできません。
だから、バッテリに関しては最重要問題でした。
というのも、もともと、リチウム系バッテリの飛行機持ち込みは厳しかったんです。
ボーイングジェット機の発火事故がありましたから。
さらに最近は、Galaxy Noteの発火事故もありました。
そのせいで、飛行機へのバッテリ持ち込みはいっそう厳しくなりました。
私は、仕事で海外へよく行きます。いま中国は、空港でのバッテリ持ち込み検査が、いちばん厳しい国だと思います。
ということで、飛行機の搭乗時に、バッテリを没収されるリスクを減らす必要がありました。
そのため、日本から持ち込むバッテリの数は最小限にしました。
私の場合、普段の1/3です。
なおかつ、バッテリを没収された場合にも備えました。
現地で主催者に、各ロボットに1個ずつ、バッテリを購入・用意してもらいました。
種子島: 全9回の公演。ご苦労はあったけれども、成果もあったんですよね? プロレス vs ボクシングは、どちらが勝ったんでしょうか?
丸 氏: 勝敗はあえてつけずに、引き分けみたいな感じで終わりました。プロレスルールでやりましたから。
お互いの技を出し合い、よいパフォーマンスを見せ合ったんですね。
観客の様子は、ロボットプロレスのときと同じでしたよ。盛り上がっていました。
そのなかで、うれしかったことがあったんです。
ロボットプロレスを観戦していたお客さんも、応援してくれたんです。
わざわざ「キングカイザー」を応援するために、ボクシング会場にまで足を運んでくれたんですよ。
種子島: そんなことまで、闘っていてわかるものなんですか?
丸 氏: それはわかりますよ。観客から、声がかかるんです。
まだ、司会者が何も紹介していないのに、「キングカイザー」がリングに登場するやいなや。
会場の観客から、「凱撤大帝!(カイザーターティー!, Kaizer Tartei!)」「凱撤大帝!(カイザーターティー!, Kaizer Tartei!)」と声が上がるんですから(笑)。
種子島: それはうれしいですね! また、「キングカイザー」のファンが増えましたね(笑)。
丸 氏: ええ。そうなんです。今回、成都でロボットプロレス「できんのか!(Dekinnoka!)」を観ていただいた皆様には、本当に感謝しています。ありがとうございました。
これを機会に、ホビーロボットに興味を持っていただけたらうれしいです。
もし、日本に来ることがありましたら、ぜひ各地で行われているロボットのイベントにも足を運んでください。
私たちも、また機会があれば、中国で開催されるイベントに参加したいと思っています。
いつか、またどこかでお会いできるのを楽しみにしています!
ホビーロボットと相性がよい
ロボットプロレス
種子島: 2016年を総括していただけますか? 丸さんの目標は達成できましたか?
丸 氏: 今年は、久しぶりにロボットプロレス「できんのか!(Dekinnoka!)」や大阪プロレス「チームばんび(Team Bambi)」に参加させていただきました。
実は、ロボットプロレス「できんのか!(Dekinnoka!)」のミステル・タマオ総統からは、毎年オファーを受けていたんです。
でも、日本テレビ「リアルロボットバトル」の番組収録があったりしました。「キングカイザー」は、参戦できなかったんです。
「キングカイザー」は、ここ2か月で続けて3回のロボットプロレスに参加させていただきました。
私は、「プロレス」はホビーロボットを一般の人に見てもらうのによいと思っています。プロレスは、非常に優れたプラットフォームであると感じています。
もちろん、「ROBO-ONE」のような“ガチンコ(リアルファイト)”のロボット格闘競技大会にもよいところがあります。
手に汗握る展開で、それはそれで素晴らしいです。
でも、「ロボットのパフォーマンスを100%観客に見せられるのか?」と言えば難しい。真剣勝負ゆえのジレンマがあります。
たとえば「キングカイザー」には、ドロップキックやバックドロップなどの必殺技があります。
ああいう派手な大技は、最初こそ決まります。
でも、大技は一度見せてしまえば、次の闘いからは対策されてしまいます。なかなか決まりません。勝負の世界ゆえの難しさですね。
それこそ、ムーサルトプレスなんて、実戦では絶対に成功しません(笑)。
そこを乗り越えて、さらなる必殺技で勝利をつかむというのも魅力があります。
でも、ややもすると“中の人たち(ホビーロボットビルダー)”にしかわからない内輪の世界になってしまいます。観客は理解できません。
それはよくないでしょう。今日、初めてホビーロボットを見る人がいるとします。その人たちに、1回の公演でそれぞれのロボットが持っているパフォーマンスを100%見てもらいたい。
それには、「プロレス」というフォーマットは非常にいいんです。
2016年の終わりに、そのことを再確認できたのは収穫でした。
2017年も「キングカイザー」は
積極的にロボットプロレスに参戦予定!
種子島: 2017年の抱負を聞かせてください。キングカイザーファンは、今年も期待していいんですよね!?
丸 氏: 日本テレビ「リアルロボットバトル」が終わってからは、“ガチンコ(リアルファイト)”の競技とは距離を置いていました。
エンタメ系の競技・イベント活動をメインにしてきたんです。この傾向はしばらく続けて行きます。ホビーロボットの素晴らしさをみなさんに知ってもらいたいんです。
だから、今年の目標はひとりでも多くの子どもたちに、「キングカイザー(ホビーロボット)」を見てもらうことです。もちろん、日本の子どもたちだけではなく、世界中の子どもたちにです!
種子島: ロボットビルダーの丸 直樹(Naoki Maru)としては、どんな2017年になりそうですか?
丸 氏: そうですね。ホビーロボットビルダーとしては、常に新しいことにチャレンジしていかなければならないと思っています。
「プロレス」で、何か新しいことができればいいと思っていますよ!
種子島: キングカイザーファンへメッセージをお願いします!
丸 氏: 今年も引き続き、「プロレス」というフォーマットでアプローチします。
「キングカイザー」のさらなるパフォーマンスを追及しようと思っているんですね。
先ほど触れましたが、新しいことというのは新必殺技なんです。
ドロップキック、ムーンサルトプレスに続く新必殺技の構想です。
「キングカイザー」の新しい世界に期待していてください!
種子島: 新必殺技……。すごく気になります。どんなものか教えてもらえませんか? ちょっとだけ(笑)。
丸 氏: それは、「できんのか!(Dekinnoka!)」のミステル・タマオ総統と相談中とだけ言わせてもらいます。
あんまり言っちゃうと、勘のいいプロレス好きにはわかっちゃいますから(笑)。ぜひ、ご期待ください!
ホビーロボットは世界共通語。
ぜひ、「生(ライブ)」で観戦してください!!
種子島: まだ実際に「キングカイザー」を見たことがない方へも、メッセージをお願いします!
丸 氏: 先日の中国遠征の帰路のことでした。
上海で飛行機の乗り継ぎがうまく行かず、足止めを食いました。
種子島: 天候のせいだったのでしょうか?
丸 氏: 天候のせいではなかったと思います。ただ、空港では具体的なアナウンスはなかったんですよね。中国では、飛行機が遅れる理由を教えてくれないことがあるんです。
種子島: なるほど。そういうことがあるんですね。
丸 氏: だから空港で、長い行列をつくって待っていたんです。
そのとき私の前に、中国人の家族が並んでいたんです。
親御さんは、2人の小さいお子さんを連れていました。
長い待ち時間でした。
子どもたちが、騒ぎ出したんですね。
親御さんが、子どもたちをなだめていました。
でも、大人しくできなかったんです。
そこで私は、「グレートキングカイザーZ」のカードを取り出しました。
そして、2人の子どもにプレゼントしました。
子どもたちは泣き止みました。
そこで私は、すかさず言ったんです。
「これは、僕がつくったロボットなんだよ!」
「この大きなスーツケースの中には、ロボットが入っているんだ!」
私の説明を聞くと、子どもたちだけではありませんでした。
大人たちまで全員が、もう興味津々です。
すっかり、子どもたちの機嫌は直ってしまいました。
私との話に夢中になったんです。
私も「キングカイザー」のおかげで、一瞬で人気者になれたようでうれしかったです。
日本に到着して、みなさんと別れるときが来ました。
実は、このご家族は日本に住んでいました。
お子さんたちは、日本の保育園に通っていたんです。
だから、お子さんたちのほうが日本語が上手だったんですね。
ほかの中国のみなさんには、お子さんのご両親が通訳してくれて。
「ぜひ、あなたのつくったロボットが見たい!」
「イベントがある時には、連絡して欲しい!」
子どもたちや、その両親だけではありませんでした。
いっしょに乗り合わせた中国人の方たちに、メールアドレスを教えていただきました。
「ホビーロボットの魅力は、国や人種を超えて伝わるんだ!」
私は思いました。
ホビーロボットの持つ、無限の可能性を感じた出来事でした。
今は、ネットの動画サイトがあります。
動画サイトで、いくらでもホビーロボットを見ることができます。
しかし、動画で見るのと実際に「生(ライブ)」で見るのとでは違います。
「生(ライブ)」は、迫力がぜんぜん違うんです。
「生(ライブ)」には、モーターの音や、金属と金属がぶつかり合う音、操縦者の表情があります。
動画サイトの画面越しでは、これらのすべては伝わりません。
また、もし大型サイズの「グレートキングカイザーZ」を見る機会がある……。
そんなときは、ぜひ足を運んでください。
実際に「グレートキングカイザーZ」を見た人は言います。
ひとり残らずおっしゃいます。
「まさか、こんなに大きいとは思わなかった!!」
あなたはきっと、身長2m超のロボットの迫力に圧倒されるでしょう。
だから、もし、あなたが、ホビーロボットをイベント等、「生(ライブ)」で見る機会があるとき。
ぜひ、ご自分の目で「生(ライブ)」のホビーロボットたちを見てください!
私も「キングカイザー」といっしょに、あなたが来るのを待っています!!
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